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ご挨拶:外科医会 会長 定方 正一 
宇都宮市の皆様こんにちは。
日本は、いまや世界一の長寿国となりましたが、これを支えているのは、日本の優れた医療制度と優れたスタッフたちによるものであることは、申すまでもありません。
この世界一の長寿を支えている我が国の医療費は年間およそ30兆円と言われていますが、この金額が高すぎるとか、削減しなければならないとかの議論があります。
ところで、日本の医療費は本当に高すぎるのでしょうか?30兆円は確かに大きな金額ですが、全国保険医団体連合会の資料によれば、1998年の国内総生産(GDP)に対する医療費の国際比較(%)では、第1位はアメリカの12.9%、第2位はドイツで10.4%、第3位スイス10.3%と続き、日本はなんと18番目の7.5%の低さです。
また、ベッド数100床当たりの医師数では日本はアメリカの1/5、ドイツの1/3で、看護婦(師)の配置は日本はアメリカの1/5、ドイツの1/2という状況です。
このような状況の中にありながら、日本の医療制度の国際的評価は、世界保険機構(WHO)によれば、国民の健康達成度の総合評価は日本は第1位にランクされています。
つまり、日本の健康達成度は世界一なのです。即ち、我が国の医療は少ない費用と人員で最大の効果を挙げていることが、ご理解頂けると思います。
しかし、この日本の誇れる医療制度も、財政悪化の理由のもとに崩壊の危機に直面しています。この医療費抑制政策は医療スタッフの労働状況を更に悪化させ、医療の質の低下を招くことになるからです。
例えば、外科手術の代表的な肝移植は、優秀な多数のスタッフにより20時間にも及ぶ手術を必要としています。そして問題なのは次の時代を担う研修医師の勤務現状を見ると、東大病院の調査によれば、1週間(168時間)のうち病院にいる時間は、平均102時間、このうち実質的な勤務時間は88時間で、睡眠時間は1日5時間、病院宿泊回数3回。脳外科では病院にいた時間は154時間、宿泊日数7回、外科では143時間、宿泊6回といった過重な実態です。
外科手術には「匠の技」の要素が必要ですが、いまのような過酷な勤務が続くと、優秀な「匠の技」を受け継ぐ人たちが不足する事態が懸念され、日本の医療技術水準は低下するかもしれません。医療費削減は、重大な問題なのです。
日本が繁栄してきた基礎には、「名もなく」「金も栄達も望まない」といった気質の多くの「匠」によって支えられてきたと考えますが、現状では「匠」のような「腕のある」医師が育たなくなると憂慮しています。素晴らしい日本であり続けるためには皆様の一層のご理解とご協力が、絶対に必要です。
よろしくお願い致します。